コラム コラム 2016年2月21日 更新 お気に入り追加 1

ネイル業界のさらなる発展に必要不可欠な“ユーザー視点”

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ネイル業界のさらなる発展に必要不可欠な“ユーザー視点” AUTHORs BEAUTY

家電業界を例にあげてみましょう。圧倒的な「技術力」により高度経済成長期を牽引したジャパンメーカー。しかしその勢いは昔日のものとなってしまっているのも事実です。 ジャパンメーカーには最高峰の技術があり、当時は日本国内で需要があったため、海外マーケットにはそこまで目を向けていませんでした。一方、某韓国メーカーでは…

他業種から学ぶべき“ユーザー視点”の重要性

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家電業界を例にあげてみましょう。圧倒的な「技術力」により高度経済成長期を牽引したジャパンメーカー。しかしその勢いは昔日のものとなってしまっているのも事実です。

ジャパンメーカーには最高峰の技術があり、当時は日本国内で需要があったため、海外マーケットにはそこまで目を向けていませんでした。一方、某韓国メーカーではいち早く国内シェアに見切りを付け何年も先を見越して海外へと目を向けていました。

そのため気付いた時には日本の電気店でもメインとなる展示スペースには韓国メーカーの家電ばかりがならんでいるという状況。ジャパンメーカーは完全に遅れをとってしまったわけです。

敗因としては“両国の視点の違い”はもちろんですが、ジャパンメーカーのストロングポイントであった“圧倒的な技術力”は悪く捉えれば“おごり”で技術があれば高くても買ってもらえるという思い込みにつながっていました。

“4チャンネルステレオ”や“3Dテレビ”などジャパンメーカーの圧倒的技術はユーザーからしてみれば完全にオーバースペックでニーズには答えきれていなかったのです。

テレビなどの家電は言わば高級なプラモデル、 部品さえあれば誰でも作れるのが現状です。製品のクオリティにそこまでの大きな差はありません。

決め手となったのは“お手頃価格のオシャレな製品”

入念なマーケティングリサーチによりいち早くここに気付きユーザーのニーズに応えたのが韓国メーカーだったというわけです。

ジャパンネイルの方向性“ファッション”としての認識

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日本人の高い技術力はネイルアートにおいても圧倒的なものがあります。ある程度の経験を積んだ日本の技術者が提供するものは世界でも圧倒的なクオリティでしょう。

これは先陣を切るアーティストの作品にインスパイアされ切磋琢磨し、さらにはコンペティションなどで技術を競い合うことによって構築された日本ならではの洗練された技術であり、ネイル業界を牽引されてきた方々の素晴らしい功績です。

しかしこれはあくまでも”個”の能力であり既に技術は飽和しつつあるのも事実です。

もちろん技術のクオリティを保つことは必要ですし、絶対になくてはならないものです。しかし、これ以上技術の競い合いを続けてもユーザー視点からすれば完全にオーバースペックです。

オーバースペックの部分というのはネイルアーティスト同士の関心は高くともユーザーにはほとんど関心の無いことなのです。

今後ネイルというマーケットをさらに拡大するには“集”の力で、競い合う視点を“ネイルアーティスト同士の視点”から“ユーザーの視点”に変えていく必要があります。

◆ファッション視点での競争

例を挙げれば“ネイルの専門誌”と“有名ファッション誌のネイル特集”どちらもネイル を取り上げていることには変わりありませんが内容が全く違います。

これが“アーティスト同士の視点”と“ユーザー視点”なのです。

後者は、ネイルに関心の無い人も含めた 幅広いユーザーの目に触れ、“ファッション”として認識されるのです。

こういったさらなる認知こそが、今後のネイル業界のさらなる発展につながります。

◆これから重要視されるのは「技術のイノベーション」ではなく「経営のイノベーション」

今後のネイル業界にはそれを先陣をきって行う“集団”の存在が必要であると考えます。
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“客観視”することの重要性、提案したいのは“5S”のルール

ユーザーからすれば「技術はあって当たり前」ネイルアーティストをビジネスとして行う以上、ハイクオリティなテクニカルスキルは必須でしょう。それを踏まえた上で重要となってくるのがネイルをいかに“客観視”できるかということです。

ネイルアーティストの視点しか持ち合わせていないと10本のアートパレットのみに焦点をあわせてしまいがちでユーザーという“主役”をさしおいて“脇役”であるネイルが一人歩きしてしまいます。これではネイルチップにアートしているのと同じで、アートサンプルを爪に張り付けたようなものです。

大切なのはアーティスト自身がユーザーの視点を持ちまずはユーザーを知ろうとすること。

◆一番簡単なのは“5Sのルール”

現在どのような“Situation(状況)”にあり、1ヶ月のうちにどのような“Scene(場面)”や “Schedule(予定)”を抱えているかを考慮し、そこに“Season(季節)”のトレンドを組み合わせて提供する。

この“4S”を満たし、その場だけの“好き”や“可愛い”だけでなくライフスタイルやファッションとリンクさせて、1ヶ月を通じて楽しんでもらえる指先をプロデュースすることがユーザー視点に立つということであり、ニーズに応えて得た“Satisfaction(満足)”を加えることで“5S”というモデルに到達します。

こういった視点を重要視してネイルが“ファッション”の一部であるという認識をより強め、いままでネイルとは無縁だった未開拓層のユーザーにシェアを広げることが今後のネイル業界のさらなる発展には必要不可欠です。



大塚翔太(3D Attacker)

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