コラム コラム 2016年1月23日 更新 お気に入り追加 0

“アーティスト”と“デザイナー”両者の視点の融合

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“アーティスト”と“デザイナー”両者の視点の融合 AUTHORs BEAUTY

メディアを通じて日常的に耳にするワード。“アーティスト”と“デザイナー”どちらも似たような意味合いで捉えられがちですが、皆さんは両者の違いがおわかりでしょうか?

“アーティスト”と“デザイナー”の決定的な違い

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メディアを通じて日常的に耳にするワード。
“アーティスト”と“デザイナー”どちらも似たような意味合いで捉えられがちですが、皆さんは両者の違いがおわかりでしょうか?

わかりやすい例を挙げれば“ピカソ(Pablo Picasso)”はアーティスト
”佐藤可士和(さとう かしわ)”はデザイナー。
このように定義出来るでしょう。

ピカソ(Picasso)はおそらく誰しもが名前くらいは、聞いたことのある有名な画家です。
佐藤可士和さんに関しては、名前は知らなくとも日本中のほぼ全ての人が彼のデザインを目にしているはずです。
身近なところで言えば“ユニクロの看板ロゴ”や“HONDAのN-BOX” “セブンイレブンのセブンカフェのコーヒーマシーン”
これらは全て佐可士和さんの”デザイン”です。

両者の決定的な違いは“ユーザー”の有無、つまり“主観的”か“客観的”か、というところにあるのです。
アーティストが重要視するのは自己の表現であり、その作品が多くの人に理解されるとは限りません。
その作品に絶賛する人もいれば、全く価値を見いだせない人もいるでしょう。
しかし、作品に批評が多くともアーティストの場合、決して失敗ではなく“表現”することに意味があるのです。

つまりアーティストにとって“ユーザー”はさほど重要ではなく利益を生むことに重きを置いていません。
たまたま作品がメディアに取り上げられ利益を生むことになれば、素晴らしいですがアーティストの場合、それを狙っているわけではありません。
アーティストが生み出すのは『問いかけ』なのです。

一方、デザイナーが重要視するのは“伝える”ということ。
つまり“ユーザー”を意識した客観的な考え方、作品が要求されます。
いかに多くのユーザーにアイキャッチされ、いかに多くのユーザーを楽しませることができるか。
ここに重点が置かれ、そこからいかにして利益を発生させることが出来るのか。
これがデザイナーに課せられた使命であり、はっきりとした成功、失敗が結果として現れます。
つまりデザイナーが生み出すものは『解決策』なのです。

圧倒的にアーティストが多いネイル業界

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現在、ネイリストを職業とするほとんどの方は“アート”を極めるべく腕を磨いている“アーティスト”なのではないかと思います。
そもそも“ネイリスト”という言葉自体が“ネイル+アーティスト”の造語でしょうからアーティストであることが本質でしょう。

ネット上に公開されている、どのアーティストの作品を見ても目を見張る素晴らしいものばかりで、どの作品にも個性があり、それぞれのアーティストからの『問いかけ』が感じ取れます。
どの作品でも“好き”と“嫌い”がはっきりと分かれるでしょうが、前項の“アーティストの定義”に当てはめれば、そこはさほど重要ではないということになります。

ネイルアーティストは、ターゲットユーザーについて深く考えているわけではなく最終的にアートを体験した人が“ユーザー”であって特定の“誰か(ユーザー)”を狙っているわけではないのです。
“自己表現”を重視するアーティストの本質が、ネイルの業界にも現れていると言ってよいでしょう。

しかしながら、“デザイナー目線”が要求されるフリーペーパーやネイル専門誌など多くの人の目に触れる紙面を客観視すると、非常にアーティスト性が強く、同業者や既にネイルサロンに行ったことのある人の目にしか止まらないのではないかと感じます。

今後のネイルというマーケットの拡大を真に考えればアーティストとしての本質に加えデザイナーとしての目線、つまり“客観的な美”という『解決策』を提供することを個人のレベルから意識することが非常に大切なのです。

アートの概念を変えて“デザイナー視点”のアートへ

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“アート”と聞けば絵を描いたり、柄を入れたりすることを誰しも想像することでしょう。
つまり現段階でのアートの定義は“描くこと”であると一般的には認識されています。
これは“アーティストの視点”であるため前述したようにどんなに優れた作品でも賛否両論、好き嫌いがはっきりと分かれてしまいます。

アーティストである以上、何かを描くことに執着しがちですが、アートはそれだけではありません。
アートの定義を“描くこと”から“クオリティの追求”へ置き換えてみればアートそのものの概念が一瞬で変わります。
“美しく塗る”こともアートなのです。

ネイルの表面の艶、滑らかさ、厚みの均一さ、いかに皮膚ギリギリまで塗れているか、ムラが無いか、など上げればきりが無いですがこうった基本的なことのクオリティ追求を、アートと定義すれば上の写真のように単色カラーを塗っただけの爪でも素晴らしいアート作品になります。

これは決して簡単なことではないですし追求すれば“描くこと”よりも奥が深く、終わりはありません。
“描くこと”がアートと認識されている現状、 こういった基本的なことはおろそかにされがちですがこれは最も本質的なアートなのです。

この視点で作られた作品は単なるアーティスト目線で作られた作品よりも、素直に美しいと感じる人は格段に増え、物足りないと感じる人はいても“嫌い”という意見は格段に減るでしょう。
つまり、今まで よりも多くの女性に『解決策』を提供したことになるのです。

これが“客観的な美”を強く意識した“デザイナーの視点”と、クオリティというアートを追求・表現する主観的な“アーティストの視点”の融合なのです。

考えてもみてください、いくらネイルをする女性が増えたとはいえ女性人口のほんの数パーセント。
“その他大勢”に『解決策』を提供することが ネイル業界にもたらす恩恵を。



大塚翔太(3D Attacker)

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